筆跡鑑定人ブログ
筆跡鑑定人ブログ−27 |
筆跡鑑定人 根本 寛 |
このコーナーに書くのは、事実に基づく、筆跡鑑定人の「独り言」
のようなものです。お気軽にお付き合いいただければ幸いです。 |
「ためしてガッテン」に出演 |
■ | 父親が亡くなったら借用書を持って表れた町金融 鑑定人として難しいのは、やはり偽造筆跡の見抜きです。偽造といっても素人が思いついてやるというようなレベルでなく、プロの手口というケースです。プロとは、たとえば、「町の金貸し」というような立場で、裏の世界の人たちです。 |
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■ | 多くの筆跡鑑定人は「筆跡個性」を真に理解していない 筆跡鑑定とは、鑑定する文字から明確な「筆跡個性」を掴んで判断することですが、一般にこの「筆跡個性」の理解が十分ではありません。筆跡個性とは筆跡に表れた「書き手独自の個性」です。このことは大抵の鑑定人が観念的には理解しているのですが、具体的に何処をどのように見るのかという本質を理解していないことが多いのです。 |
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図A | ||
しかし私はこの文字では「終筆部を引っ掛ける(C)から同一人の可能性がある」と真っ向から対立しました。結果は「同一人の筆跡」とした私が正解でした。この遺言者は「廃用症候群」で、椅子に座っていることもできないほどの行動の不自由な人なのです。まともに腕の動かない人の筆跡が、書くたびに上に向かったり下に向かったりするには何の不思議もないことです。一方、私の指摘した「横線の最後を引っ掛ける運筆」は、「一」の字の他にも「遺」「言」「七」「十」などにも表れていて、これは行動が不自由でも書きうる部分だとわかります。 |
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■ | 「タメシテがってん」で証明された脳の仕組み 先日NHK総合テレビの『タメシテがってん』に鑑定人として出演しました。その番組では、文字は手が書いているのではなく、脳に蓄えたイメージに基づいて書いているのだということを証明することです。 |
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図B | ||
私の提案で、有名な詩画作家の星野富弘さんを取材しました。星野さんは体育の教師であった24歳のとき、鉄棒から落下して頚椎を損傷し、首から下は全く動かせなくなった方です。 |
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■ | 脳と筆跡の研究はまだ入り口 私はそれを見ていて、従来から主張していた「脳のイメージ理論」が証明され嬉しく思いましたが、同時に、最近鑑定した遺言書の文字に思いを馳せていました。 |
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図C | ||
これが、「認知症」になったとか、何か脳の病気というなら分かりますが、遺族に伺ったところ、そのようなことは全く無いというのですからびっくりしたのです。 |
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