筆跡鑑定人ブログ
筆跡鑑定人ブログ−13 |
筆跡鑑定人 根本 寛 |
このコーナーに書くのは、事実に基づく、筆跡鑑定人の「独り言」 のようなものです。 お気軽にお付き合いいただければ幸いです。 ただし、プライバシー保護のため、マスコミ報道された内容は別にして、固有名詞 は原則的に仮名にし、内容によってはシチュエーションも最小限の調整をしていることをご了解ください。 |
冤罪を晴らす |
■ | 教習所に変な手紙が舞い込んだ
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■ | 勤めをクビになり500万の損害賠償の請求 どのような状況だったのか詳細は不明だが、結果として私の依頼人になった52歳の山岡氏が槍玉に上がってしまった。その結果、20年も精勤した職を首になっただけではなく、500万の損害賠償の責めを受けてしまったのである。
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■ | 「校」の字のトリック 犯人とされた山岡氏の筆跡は学校の「校」の文字が、図Aのように最後の右払いが極端に長く伸びる筆跡個性である。誹謗文書の「校」の字は、図Bのように右払いは普通の長さである。ところが、鑑定書では山岡氏の筆跡のうち、たまたま普通の長さの文字を二字取り上げて比較し同一人の筆跡だと断定している。対照された山岡氏の資料は横書きの業務日誌である。拾ってみると「校」の字は18個もある。18個のうち、右払いが長くなるもの16個、普通の長さのもの2個である。鑑定書はその2字を取り上げている。この二字は行末になり、右払いを伸ばすと罫線にかかるので、日頃の筆跡個性を抑えて短く書いたものであった。 |
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■ | おかしな鑑定人を避ける方法 幸い、この事件は一年半後に、原告の教習所が請求を取り下げて一件落着した。こんなわけで、誤った鑑定書の罪は深いのだが、一面、鑑定人は始終、誤った鑑定書を書かせようとする誘惑とも戦っている。
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